ハードSF映画の新境地『メッセージ』レビュー!

映画メッセージレビュー

『メッセージ』を観た。とても知的好奇心をくすぐられる映画だったので、レビューをかいてみる。

はじめにSF映画のジャンルについてかんたんに書いてあるので、すでに知っている人は目次からレビューへどうぞ。

映画のあらすじ

ある日突然世界12カ所に黒い物体が飛来した。言語学者として、以前政府で仕事をしたルイーズ(エイミー・アダムス)は政府に呼ばれ、彼らがなぜ地球に来たか調べることになる。

映画のジャンル

ハードSF映画(ハード・サイエンス・フィクション)

SF映画のジャンルの境界はとても曖昧で、人によって判断がことなることがある。一般的にどのようなジャンルがあるか書いてみたい。

SF映画のジャンル

ジャンルを書いていくまえに、まずはSF映画の定義から。wikipediaでは以下のように書いてある。

SF映画(エスエフえいが)は、SF(サイエンス・フィクション)をモチーフにした映画。宇宙人の襲来、宇宙旅行、宇宙戦争、海底探検、タイムマシンなどの題材がよく扱われる。wikipediaより引用)

このとおり科学的な空想をもとにした映画だ。ではSF映画のいわゆるサブジャンルはどのようなものがあるか。一般的に言われているものをあげてみたい。

ハードSF

科学的知見をもとに、しっかりした科学考証がなされた映画。本作『メッセージ』や『2001年宇宙の旅』などがあげられる。

ハードSF – Wikipedia

スペースオペラ(SF)

主に宇宙空間でくりひろげられるスペクタルドラマ。『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』、日本では『宇宙戦艦ヤマト』や『ガンダム』などがあげられる。

初期のスペース・オペラより複雑(人類の大勝利てきなものに収まらず、より哲学的なものや、より厳密に科学技術をえがくなど)なものをわけて、ニュー・スペースオペラとよばれることもある。

スペースオペラ – Wikipedia

サイバーパンク(SF)

技術がものすごく進歩して人間とネットワークがリンクしたり、その結果社会がどのよになったのか、メタ的な視点からものごとをえがいていくジャンル。またそのような社会にたいする反発(パンク)が主軸になることも。

代表的な作品として、『マトリックス』や『攻殻機動隊、『PSYCHO-PASS』などがあげられる。

サイバーパンク – Wikipedia

その他

その他、すべてが統制の下にしかれたディストピアをえがくディストピアSFや、軍人や戦争を主軸としたミリタリーSFレトロヒューチャースチームパンクなどのジャンルがあげられる。

気をつけておきたいのは、ジャンルとして正式なものが決まっているわけではなく、その境界は、時代や人によって変わること。だいたいの目安として、好みの作品を探すときの参考にするのがおすすめだ。

『メッセージ』レビュー!

正統なるハードSF。ハードSF映画として、新しい王道をみせてくれた気がする。ぞくぞくしたし、ありえなさそうな感じが、どんどんありそうな感じになっていくのがすばらしかった。

「もしも、なにものかが宇宙からやってきたら?」

言葉は通じる?言葉はある?そもそも意思は?なんのために?侵略?平和の使者?なぜそこなの?意味は?各国と協力できる?国益は?

宇宙人が登場する映画においては、これらをどこまでつきつめていくかが、映画の感じ方を決める分かれ目になる。

本作は飛来したなにものかとの意思疎通を物語の軸に、それにとどまらないスケールの大きさを感じられた。その大きな要因は、「言葉」だろう。

映画では地球のどの言語ともことなる言葉がでてくる。この言葉の存在がとても魅力的で、観ていくうちにどんどんイメージが広がっていった。

例えば、言葉が人間に与える影響について。学説の中には、日本語と英語を使う人では、考え方に違いが生じるという論文もある。

それでは、宇宙人の言葉を理解し、使えるようになるとどうなるのか?

映画の大きな魅力がここにある。ぜひスクリーンで観てみてほしい。科学的な映画が好きな人、言葉に興味がある人は必ず楽しめるだろう。

映画館で観るときは、前列付近の席をおすすめする。広大なスケールの映像が、視界いっぱいに広がってくる。映画への没頭感が高まるはずだ。

印象に残ったシーン

印象に残ったのは、はじめて黒い物体の全貌がスクリーンいっぱいにあらわれたシーン。広々とした草原に、突然あらわれたかのように見えるシーンは圧巻だった。

まるで黒い物体がそこにあるのが当たり前かのように調和がとれている。スペースオペラにでてくるようなゴテゴテした宇宙船ではなく、ゆるやかな線で構成された物体は美しく、神秘的だ。

美しいデザイン

本作の見どころの一つは、美しいデザイン。宇宙船はもちろん、劇中に出てくる文字も不可解ながらも美しく、魅力的なデザインだ。

監督は文字について、以下のように語っている。

アーティストのマルティーヌ・ベルトランド(Martine Bertrand)がインクのはね、シミのようなものを使ったデザインを提案してくれて、ロールシャッハではないですが、見る人によっては文字であったり、悪夢であったり、いろんなイメージを想起させるような部分もとても気に入りました。ただ、形をそのままデザインとしてヘプタポッドが毎回書くとなると時間がかかってしまうので、彼らの手足のような体の部位からインクが噴出して、空間に言葉として描かれていくという方法を採用したんです。結果的に、奇妙で美しい表現ができたと思っています。
映画『メッセージ』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー:「何らかの地球外生命体はいると思う」|ギズモード・ジャパンより引用)

さらにここから、辞書をつくりあげたり、言語学者や理論物理学者がかかわって実際にありえる言語になったそう。

実際に使える言語として、デザインされているのはものすごい。やはり本気でやってこそ、すばらしい映画ができるのだ。

また、船のデザインについてはこのように語っている。

直感に突き動かされてデザインしたというのが正直なところですし、誰も見たことがない形状を目指して宇宙船のデザインは生み出したつもりだったんですけど、世界の反対側(日本)ではみんなが知っている形状だったなんてね(笑)。
映画『メッセージ』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー:「何らかの地球外生命体はいると思う」ギズモード・ジャパンより引用)

ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督

本作は『ボーダーライン』、『プリズナーズ』などジワジワと迫ってくるような映画をおくりだしてきたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品。来年公開の『ブレードランナー2049』でも監督をつとめる。

以前から緻密に寝られた設定と、息遣いが伝わってくるような絵面にはひきつけられていた。今回もひきつづきすばらしい映画となっている。

またインタビューで、「『メッセージ』では娘が一緒に働いてくれるという、これまでで最も美しい経験ができました。」(宇宙人と言語学者の対話描く『メッセージ』の美はこうして生まれた…ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が明かす裏側 – シネマトゥデイより引用)というように、家族思いな人であるようだ。それも今作の一つのテーマになっているかもしれない。

まとめ

これまでありそうで観たことのなかった、言語学者を主人公としたハードSF映画。そのファーストコンタクトとして新しい境地をひらいてくれた気がする。ぜひ映画館でどうぞ。

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